• nankotsuteacher

[TKNGK-02/3] Guy Birkin - Disorganised and Unwanted





 Disorganised and Unwanted ―― 無秩序で不要なもの。

身の回りの生活音や会話などのフィールドレコーディングが多く聞かれるこの作品に、敢えてこのようなタイトルを冠することで、Guy Birkinは、コロナ禍において益々過剰な組織化、効率化が進む現代社会において、本当に必要なことは何か、改めて問いかけているのかもしれない。


 収録曲の多くには実在のイギリスの地名が付されており、現在のイギリスのサウンドスケープを表した作品とも言える。

音楽家、音響生態学者のBernie Krauseは、サウンドスケープの構成要素を以下の3つに分類している。

 1. Geophony; 自然界の非生物による音(風、水、大地の動き、雨など)

 2. Biophony; 生物による音(鳥や虫の鳴き声など)

 3. Anthrophony; 人間の活動による音(機械音、交通機関の音など)

これらにエレクトロニクスも加えて、各曲の構成要素を分類すると、以下のようになる。

"Day"と"Night"の2部構成の作品だが、01〜08が"Day"、09-16が"Night"である。

前半の”Day"には、鳥の鳴き声、虫の羽音など、biophonyに分類される音が聞かれるが、後半の"Night"には全く登場しない。代わりに雨の音、風の音、火の爆ぜる音など、geophonyに分類される音が、前半に比べ増えている。

Anthrophonyは収録曲のほとんどに聞かれ、子供の声、会話、車の交通音など、人の生活圏を感じさせる音が多く登場する。


 前半、後半ともに、2/3の楽曲には、シンセサイザーや、フィールドレコーディングの加工による電子音が加えられている。

いくつかの楽曲は、20x20 Projectからのリリース"Processed Field Recordings"と、素材とアイディアを共有しており、03における鳥の声でトリガーされるNative Instruments Razorや、09における雨の音と、恐らくそこからフーリエ変換、再合成により抽出されたサイン波のドローン、011における花火の音のピッチ変換(ディレイタイムの変化によるエフェクトか)などは、面白い効果を生んでいる。


 最後に、R.マリー・シェーファーの名著『世界の調律』で冒頭に引用されている以下の文章を、再度ここで引用したい。


 ぼくはもう何もしないで聞くだけにしよう……

 ぼくには聞こえる、合流し、結びつき、溶けあい、あるいは追いすがるすべての音が、

 都会の音と都会の外の音が、昼と夜の音とが……

ウォルト・ホイットマン「ぼく自身の歌」



※参考文献

・Bernie Krause, The Great Animal Orchestra: Finding the Origins of Music in the World's Wild Places.

・R.マリー・シェーファー『世界の調律 サウンドスケープとはなにか』鳥越 けい子訳


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